たいふうのおもひで

列島に台風が接近中だそうで先ほどから風が強くなってきた。まだ数日あるのにもう影響が出るもんかね?
まぁ、日当たりが良すぎて風通しが悪いオイラの部屋はサウナみたいに静かで暑くて平穏なんですが。

台風の直前はよく釣れるってのは釣り師の間では定番でして、魚は人間と違って気圧の下降を喜ぶらしいのね。台風は文字通り低気圧ですから、これが近づいてくると魚の活性が上がって餌をよく追うようになるんですな。
ですが直撃中は釣りにならんので接近中を狙って釣りに行く。

台風にはコッチの都合なんて関係ありませんから曜日を問わずにやってくるわけですよ、なので勤め人はタイミングがよくないと台風接近中の釣りは経験できない。
オイラも十数年前に一度だけトンデモナイ釣りを経験したことがありました。バスフィッシングね。

金曜日の予報では土曜日の正午くらいに関西地方を直撃ということでした。オイラはちょうど日勤でね、17時に仕事が終わって「さぁ週末だ!」ってとこでした。普通なら週末に台風なんてせっかくの休日を潰されちゃうから歓迎しないんでしょうけど、部屋に帰って準備をすると職場の先輩とそそくさと出かけたんですな。最悪タクシーで帰ってこれるように電車に乗って。

約一時間かけて到着したのは彦根港。港湾なら風も避けれるし波の影響も少ないからね。まぁ駅から歩いていけるってのが一番の理由でしたが。
既に強い風が吹いていましたが、そのおかげで真夏にしては涼しくて過ごしやすい陽気でした。でも湖面はまるで海のように波立ってる。

暗くなると背後に沢山の人が溢れてきました。いつもは釣り人しかいないのになんでだろ?と思っていると、どうやら「鳥人間」の開催がこの週末らしい。会場がすぐ隣なのよね。
テレビを見たことある人ならご存じだと思いますが、出場するのは大学生が多いのよね、若者ですわ。だからといっては語弊がありますが、マナーが悪いのよ、コイツら。花火をやるのはいいとしてゴミは持ち帰らないし酒飲んで遅くまで騒ぐしで、近隣住民はどう思ってるんでしょ。

あぁ話が逸れました。

といってもここから約12時間は書くこと無いんですけどね。あまり釣れなかったです。いや釣れることは釣れましたけど期待していたような釣れ方ではなかったんですな、いつも通りかちょっと少ないくらい。
「なんだよ、せっかく来たのに」と途中で飽きて遊覧船の待合所(風雨がしのげる)で仮眠してました。明るくなったら帰ろうと決めて。

ところがドラマは日の出と共に訪れたんですな。辺りがうっすらと明るくなり始めると同時に本格的な雨が降り始め風も一段と強くなってきました。もうまっすぐにルアーが飛んでいかないから風で曲がることを考慮しつつ適当に見当を付けて放り投げるしかない。満足に釣りが出来ないような状況です。ところが投げる度に魚が釣れる。
それまでは「もぞもぞ」といったバイト(アタリ)だったのが「ガツン」とひったくるようなバイトに変わり、明らかに食用旺盛になっている感じ。しかも30~40cmクラスに混じって時々50cmクラスも喰ってくる。

関東で釣っていた頃は50cmクラスなんて一生のウチに1本釣れればいいなぁと思っていたのに、琵琶湖で釣りをするようになってから1ヶ月に一本くらいは釣れるようになっていました。だけどやはり貴重であることに変わりは無いわけでして、その貴重な50cmUPがバカバカとまではいかないけどポツポツと釣れる。
これはもうお祭りですな。大フィーバーでした。

それからは時間を忘れて狂ったように釣っていたんですが、人間の感っていうのは大したもんでして、なんだか急に「ヤバイ」という直感がよぎるわけですよ、本当に急に。
すると同行していた先輩がグッドタイミングで近づいてきて「そろそろヤバイ気がするで」と口にする。

大急ぎで荷物をまとめて足早に駅へと歩き出す。彦根港に来ると帰りがけにラーメンを食べて帰るのが常なんですが、さすがにこの日はそんなことを考えもせず、一目散にホームに向かい電車に揺られること数十分、自宅の最寄り駅に到着すると同時に駅員から台風による一部区間の運休が告げられました。
本当にグッドタイミング、シックスセンスってのは本当にあるんだねぇ。

部屋に帰ったのは10時過ぎでしたでしょうか。その時には外は大荒れの状態でテレビでは台風情報しか流していない。急に眠くなって気が付いたら16時過ぎ、外はいつもの真夏の陽気で蝉がやかましく鳴いている。
台風ってのは本当に一瞬なんだよね、その一瞬を寝て過ごしたりすると台風なんて夢だったんじゃないかと思うくらい何ともない世界に戻ってる。

台風五号はまたぞろ九州方面に進んでいるとか。
夢のようになんともなく通り過ぎてくれるといいですなぁ。

ちなみにこの年の鳥人間は台風で中止でした。泣き崩れる参加者達を見ていたらとても不思議な気分だった。オイラには理解できない世界ってのがあるんだなぁとつくづく思ったよ。

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