
家電製品エンジニアとは
主催団体
一般財団法人 家電製品協会
公式サイト

資格の概要
家電製品エンジニアは家電製品の設置や接続、セットアップ、リカバリー、修理、不具合症状の解消などに従事する人の知識や技能を認定する民間資格です。
デジタル化した昨今の家電製品の進化はすさまじく、そのため資格有効期間は交付日から5年間と定められています。有効期限までに更新手続きを完了すると、新たに5年間資格を継続することができます。
AV情報家電と生活家電
一口に家電製品といっても種類が多いため、家電製品エンジニアの資格では「AV情報家電」と「生活家電」の2つに分かれて資格認定が行われています。
AV情報家電に合格することで「家電製品エンジニアAV情報」、生活家電に合格することで「家電製品エンジニア生活家電」の資格が与えられ、AV情報・生活家電の両方の試験に合格することで「家電製品総合エンジニア」の資格が与えられます。
総合エンジニアを取得する際はAV・生活を一度に取得する必要は無いため、私の場合は先にAV情報を取得し、半年後に生活家電を取得することで「家電製品総合エンジニア」となりました。
AV情報家電
- テレビ
- パソコン
- カメラ
- オーディオ機器(イヤホンなど)
- 電話機・FAX
- その他周辺機器
生活家電
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- エアコン
- シャワートイレ
- 炊飯器
- 電子レンジ・オーブン
- 理美容器具
- 掃除機
- 加湿器・除湿機・空気清浄機
- 換気扇
- IH調理器
- エコキュート
家電製品アドバイザーとの違い
どちらも同じ家電製品協会が認定している資格ですが、家電製品アドバイザーは家電の販売や接客のプロとして、家電販売の他にも、上手な利用方法やリサイクルまでサポートし、接客マナーも問われます。
お客様対して各商品の特徴比較やランニングコストといった視点で商品選びをお手伝いできる知識を持っているのが家電製品アドバイザーです。
家電製品エンジニアは家電製品の技術面のプロとして家電製品の設置・接続・セットアップ業務、トラブル対処や修理に加え、購入後の安全安心のサポートも行います。家電製品の安全点検や法規の知識を持ち、家電製品の安全で上手な使い方やトレンドを踏まえた技術情報について適切なアドバイスをしながらサポートを行うスキルも備えています。
購入後に長持ちする使い方やメンテナンス方法をアドバイスしたり、トラブル時の問題の切り分け・解決方法を提案できる知識を持っているのが家電製品エンジニアです。
受験資格
なし
受験方法
CBT試験
年1回毎年3月(2024年から年1回になりました)
受験料
AV情報家電・生活家電 両資格を受験(4科目) 18,800円
AV情報家電・生活家電 いずれかを受験(2科目)9,400円
試験科目の免除により 2科目を受験 12,400円
試験科目の免除により 1科目を受験 6,200円
こんな人にお勧め
ニッチでマニアックな資格なので誰にでもお勧めできるような資格ではありません。
そもそもがメーカーや販売店で修理やメンテナンスを行っているような人が取得する資格です。
とはいえこの資格がなくても家電修理をすることはできますし何ら支障はありません。
勤め先で資格手当が出るのであれば給料アップのために取得してもいいかもしれません。
資格受験記録
受験のきっかけ
子供の頃から機械を分解して動く仕組みを覗くのが好きでした。
大人になってからも家電製品が壊れたら分解してみて、自力で直せそうなら修理にチャレンジすることを趣味として楽しんでいます。
そんな趣味に関連する資格ということで受験してみました。

勉強時間
AV情報家電
約2週間
生活家電
約1週間
最新版の公式のテキストと問題集、過去の数年分の問題集を購入してひたすら問題集を解いていく方法で勉強しました。分からないところはテキストを読んで知識をインプット。
家電製品アドバイザーの資格は過去問だけでなんとかなりますが、エンジニアはテキスト必須と感じました。ググっても出てこないようなことがテキストには掲載されています。
私自身が元々「向いているか向いていないか」で言えば向いている方なんだと自分でも思います。なのでこれくらいの勉強時間ですが、初学者の方はもう少し時間を取ることをお薦めします。
合格率は45%程度で低くはありませんが、強制的に受験させられる家電アドバイザーと違って自発的に受験している人がほとんどだと思いますので、そう考えると高くもないのかなという印象です。

難易度(個人的体感)
AV情報家電
生活家電
生活家電の方が暗記ボリュームは多いです。が、AV情報家電にはテレビアンテナの分配に関する計算問題(暗算)が出るのでこれが面倒。総合するとAV情報も生活家電も同じような難易度だと思います。
時期を平行して家電製品アドバイザーの試験も受験しています。
- 2023/3月、家電アドバイザー AV情報を受験
- 2023/3月、家電エンジニア AV情報を受験
- 2023/9月、家電アドバイザー 生活家電を受験
- 202399月、家電エンジニア 生活家電を受験
といったスケジュールです。
なので3月にはAV情報家電の知識をアドバイザー・エンジニアの両資格分を目一杯詰め込んで、9月には生活家電の知識を目一杯詰め込んで受験しています。
AV情報はテレビやパソコンといった元々知識を持っていた製品ということもあってそれほど苦戦はしませんでしたが、生活家電はジャンルの幅が広く覚えることも多いので大変苦戦しました。
ネットで調べると様々な情報が見つかる家電製品アドバイザーと比べて、家電製品エンジニアの情報はほとんどみつかりません。これから受験しようとする人には片手間な私のこの記事ですら貴重な情報源となり得るのかもしれません。
それくらい情報量が皆無で、具体的にどんな内容が出題されるのかはテキストや問題集を購入してみないと分からないのが実際です。
参考までに過去に出版された問題集の一部分を掲載しておきます。
無断転載は色々と問題が生じるでしょうから本当に一部です。一部のみですがこの画像を見れば自分に向いているか否かは判断できると思います。


実用性(個人的感想)
お仕事として修理を専門に行っている方はともかくとして、私のような素人ではこの資格を取得したからといって実際の修理が簡単になるわけではありません。
またこの資格が無いと修理が出来ないといった独占業務資格でもありません。
そういう意味で実用性は皆無なのですが、この資格の勉強をすることで「家電製品に対する見る目」が大きく変わりました。いままでは商品の長所を探して善し悪しを判断していました。というか長所を見つける眼しか持っていなかったんです。
ところが、製品の構造や動く仕組み、各部品の役割などが理解できるようになると商品の短所を見つけることが出来るようになります。
家電製品はどのお宅でも必要ですし商品ジャンルも幅広いです。購入時にどれを選んでいいか迷うことも多いはずです。
そのため「家電芸人」や「家電アイドル」といった人たちがメディアに登場してますし、「家電系ユーチューバー」や「家電系インフルエンサー」なんて方々もたくさん活躍しています。家電製品に関する情報はコンテンツとして価値があるんですね。
短所を見つける眼を持てたことで、そういう人たちが発信する内容に含まれる「間違い」や「嘘」が見抜けるようにもなりました。
あらゆる方向から入ってくる様々な情報を取捨選択できるようになったことがこの資格を勉強して良かったことでしょうか。
受験してみた感想
直近試験(2023年9月)の受験者数・合格者数・合格率は以下の通りです。
なんとまぁマイナーで不人気な資格でしょうか。

2023年までは年2回の試験だったとはいえ、1回の受験者数が合計で232人。そのうち24人は2科目重複なので実際の受験者数は208人です。
問題作るのだって時間も人件費もかかるでしょうから、そりゃ年1回試験に減らすよね。
家電製品エンジニアという資格は2001年に始まった資格で、それ以前は「電気・電子機器修理技術者」という通産省が認可する国家資格だったそうです。
家電メーカーの修理技術者や家電販売店のサービス担当の人はこぞってこの資格を取得したのだとか。
家電の技術がアナログからデジタルに変わっていく過程で家電製品エンジニア資格として生まれ変わりました。
同時に民間資格に変わることで、わざわざ時間とお金をかけて資格更新をする価値がなくなってしまったのでしょうか、この資格を取得する人は少なくなってしまったそうです。
私も「5年後に更新するか?」と聞かれたら・・・、返事に困ります。
上位資格
エグゼクティブ等級なる制度が存在します。
家電製品エンジニアでは試験で85%以上の得点率だとエグゼクティブ等級としてゴールド資格に認定されます。
AV情報・生活家電の両方でゴールド(85%以上の正答率)を取得するとプラチナ資格として認定されます。
エグゼクティブ等級への挑戦は資格の有効期限中ならいつでも可能です。
私が次の試験開催期間中に挑戦することも可能なわけです。
まぁ、しませんけどね。