資格取得記 第二種電気工事士

第二種電気工事士とは

主催団体

一般財団法人 電気技術者試験センター

公式サイト

第二種電気工事士試験 | 電気工事士 | 一般財団法人 電気技術者試験センター

資格の概要

600V以下で受電する一般用電気工作物等の工事が請け負えるようになる資格です。

平たく説明すると、一般的なご家庭や小規模なお店での電気工事。具体的にはブレーカーやコンセント・壁スイッチなどや、それらに接続するケーブルを切ったり繋いだり付け替えたり出来るようになります。

受験資格

無し(小学生で受験・合格する人もいます)

受験方法

学科試験合格後に実技試験を受験

学科試験・実技試験ともに年2回開催。
学科試験は一斉試験の他にCBT受験も可能。実技試験は一斉試験のみ。

受験料

郵送申し込みの場合 9,600円
インターネット申し込みの場合 9,300円

こんな人にお勧め

・手に職を付けたい人
国家資格でもあり、免許でもあり、独占業務資格でもあります。
日本全国どこの家庭でも使われている電気ですが、電気に関わる工事はこの資格が無いとできません。
労働条件に贅沢を言わなければ日本全国で求人があります。有効期限や更新制度もありませんので、一度取得してしまえば食べていくだけの最低限の収入は得られます。
ただし、独立して自営で工事業を営むためには様々な条件をクリアする必要がありハードルが上がります。

・DIYを極めたい人
DIYでちょっとしたリフォームや改修をすることがあるのですが、この資格があると自分で出来ることの範囲が大きく広がります。

資格なしで電気工事を行って万が一火災が起きたら火災保険がおりません。その火災が隣家に延焼したら重過失認定で失火責任法の範囲外となり損害賠償請求されます。

資格受験記録

受験のきっかけ

昔書いたブログ記事から転載します

私が生まれ育った実家は戦後間もない頃に建てられた古い家屋でした。建物が古いだけでなく電気の配線も古くて、ケーブルは剥き出しの状態で壁や天井に固定されていました。

大人になったある日のこと、実家に帰ると家族は留守だったためテレビを見ながら家族の帰宅を待っていました。

ボケッとテレビを見ていると画面に何かが映っていることに気がつきました。テレビの放送内容とは異なる「何か」が画面に映っているんです。

ハッと気がつき振り向くと、背後の壁に固定してある電気のケーブルから炎が上がり煙が出ていました。

幸いにも燃え広がる前に消し止めることができ大事には至りませんでしたが、もしも私が帰っていなければ、留守だからとすぐに諦めて実家を後にしてしまっていたら、恐らく生まれ育った我が家は全焼していたんだと思います。

電気ケーブルから発火した確かな理由は分かりませんが、推測すると古くなったケーブルの被膜や芯線にダメージがあって、その部分が熱を持ったのではないかと思います。
「古い電気配線は危ない」ということを、私はこのときに身をもって実感することができました。

そんな経験をしてからというもの、「電気工事士」という資格の存在を気にしながら生きてきましたが、10年以上経ってようやくまとまった時間ができて受験することができました。

勉強時間

学科試験 約40日
実技試験 約50日

難易度(個人的体感)

学科試験

評価 :1/5。

実技試験

評価 :5/5。

学科・実技ともに参考になるコンテンツがWEB上でたくさん公開されています。情報量が多いという意味で難易度は低いです。(実技試験が☆×5なのは後述)

実用性(個人的感想)

評価 :5/5。

換気扇スイッチを節電目的でタイマー式に交換したり、防犯カメラの電源を直結で取ったり。DIYで大活躍です。

仕事には生かしていないのでお金にはなってませんが。

受験してみた感想

学科試験

過去問と過去問の正解・解説がネットで公開されています。本番の問題もほぼ全てが過去問からの出題となります。
なのでとにかく過去問をたくさん解いていくことで合格レベルまで必ず行けます。

範囲が広いので不得意分野がでてくると思いますが、不得意分野は捨て問にして得意分野で点を落とさないようにすれば大丈夫。
なにせ合格点は60点。50問中30問正解すれば良いのですから。

私の場合は過去12回分の過去問題を5周回して、最終的に平均90点前後取れるようになりました。
理論の計算問題は全部捨てたので100点満点は最初から諦めています。

2023/03/30に図記号だけ勉強した程度の知識レベルで過去問を解き始めました。問題は四択なので勉強しはじめの僅かな知識でも適当に答えて25%の確率で正解します。

4/10に機器検査の分野を勉強すると得点が僅かにアップ。

4/22には法令分野を勉強して知識を増やしていきました。

4/29には電気工事のキモである複線図を勉強。一気に得点が上がります。

試験が迫った4月末からはさらに古い過去問にもチャレンジして応用範囲を広げています。

こんな感じで勉強時間の8割は過去問を解くことに割きました。
過去問を解いていくだけでも基礎知識は増えていきますが、いまにして思えば最初のウチはテキストを見ながら過去問を解いていくと効率が良かったかもしれません。

お薦めのテキストはこのあたり。覚える→問題を解くという構成でとにかく分かりやすいです。

過去問はホーザン様

第二種電工試験の虎

実技試験

過去問さえ完璧にしておけば合格できる学科試験に対して、実技試験は難易度が上がります。

実技試験は予め13種類の候補問題が公開されています。この13種類の中から本番では1種類が出題されるという仕組みです。
ということで13種類の候補問題を練習して備えるわけですが、色々とハードルがあります。

まず一つ目のハードルは工具と材料を揃える必要があるということ

電気工事なので工具は必要です。最低限必要な工具は以下の通り

最低限これだけあればなんとかなるのですが、本番試験では時間制限が設けられていて(40分)、時間内に完璧に作業を終えなければいけません。
また13種類の中には一部の課題でしか使われないケーブル(VVR)があり、そのケーブルを施工する練習用に必要な工具・道具なんかもあるので、あらゆる場面を想定した工具一式を揃えると1万円以上の出費になります。

加えて、工具を揃えただけでは問題の練習は出来ません。練習には材料が必要となります。
候補問題13種類を練習するのに必要な材料(ケーブル・器具類)を全て揃えると概算で約20,000円ものお金が必要になります。

2万円は13種類を1度だけ練習する場合にかかる材料費です。13種類を2度3度と練習しようとすると使い回しできる材料はともかく、ケーブル類は新たに買い直す必要があります。
13種類を各1回ずつ練習するのに必要なケーブル代金は約7,000円です。

このようにとにかくお金がかかるというのが一つ目のハードル。

二つ目のハードルは練習しても「答え合わせが出来ない」ということ

本番の試験では与えられた課題を与えられた材料で与えられた時間内に完璧にこなす必要があります。
電気工事の試験ですから安全に直結する作業を試されます、1つのミスも許されません。100点満点中100点を取らないと合格できない試験です。

ところが、自宅で練習をしていると自分が練習で作り終えた課題が正解なのか?不正解なのか?の判断を自分でしなくてはいけません。第三者の目で確認してもらえないんです。
もし仮に間違いが含まれていたとしても本人が気づけなければ間違えたままそれを正解として覚えてしまいます。

どんなに練習を重ねても、合っているのか間違えているのか自分で判断するしかないというのはものすごく不安でストレスでした。
実際に試験1ヶ月前ころから胃痛で夜中に目が覚めて眠れなくなり、医者に診てもらったところ胃潰瘍との診断の受けました。
半世紀の人生で苦しいことや辛いことも人並みに経験してきましたが、ストレスで胃潰瘍は初めての経験でした。

一応ですが間違えは「欠陥」として公表されていて、「これはアウトですよ」という内容は練習前に知ることは出来ます。

三つ目のハードルは本番試験の環境です

2人掛けor3人掛けの長机を想像してください。
そこに自分が持ち込んだ工具と支給された材料や用紙類を並べて作業します。お互いが気をつけないと隣の人と肘がぶつかりそうな狭さです。

与えられた作業時間は40分。どんなに練習を重ねてきても本番では緊張して作業のペースが鈍りますし、周囲の人の作業の進捗も気になって気が散ると焦りが生じてますます作業のペースが乱れます。

私も本番当日の試験開始までは自惚れていました。
「さんざん練習してきたから余裕でしょ。時間余ったら最後に見直しすることを忘れないようにしないと」
なんて考えてました。

が、実際は時間目一杯使ってなんとか完成できました。本当に時間ギリギリで見直ししている猶予は無かったです。
試験後に辺りを見回すと時間内に完成できなかった人もたくさんいました。

他人の作業に気を奪われながら自分の作業に集中しなくてはいけない緊張感やプレッシャーは貴重な経験でした。

実際の試験会場で与えられるスペースの広さなどはネットで公開されていますので、事前に調べて同じような環境で練習しておくと役立つかもしれません。

ちなみに、私が受験したときの埼玉県の出題内容は候補問題No6の三路スイッチでした。(画像は練習時のもの)

上位資格

第二種電気工事士は主に一般住宅での電気工事を行える資格です。
工場や大規模施設などもっと大きな規模での電気工事に従事するためには第一種電気工事士の資格が必要です。

また、工場やビル、発電所などの電気設備の保守・監督業務に携われる国家資格である電験三種(正式名称は「第三種電気主任技術者試験」)といった資格も人気です。(難しいけど)

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