夏休みの苦い思い出

親父は自営業だったので夏休みはその年の仕事量によって取ったり取らなかったり、取ったとしても行楽地が閑散とし始めるお盆過ぎの8月20日前後だったんですな。

あれは小学5年生の夏休み、房総の海での出来事でした。
2学期の始業式まであと数日という段階になってやっと「海にでも行くか」ということになりまして2泊3日くらいの旅程で出かけたんです。
房総の海は泳ぐ人もまばらでガラガラ状態。ほとんどの海の家が既に閉店の準備をしている状況でしたが、もう1週間も早ければ芋洗い状態だったでしょうから、それはそれで贅沢な海水浴でした。

2日目の朝早く、飯を食い終えたオイラは海沿いの宿を海パン姿で飛び出して一目散に砂浜に向かったんですな。夏休みも終わろうという頃になってやっと夏休みらしいイベントに巡り会えたわけですからそりゃテンションも上がりますわな。なんせ小学5年生だし。

いやっほー!

と叫んだかまでは覚えてませんが、叫んでもおかしくない勢いで突撃したオイラはズカズカと沖に向かって歩き出しました。
なぜ歩いたかというと、オイラ泳げない。40手前になっても未だに泳げない。
いや、泳げることは泳げるんです、浮くことも進むことも出来るんです、だけど水に顔をつけることに抵抗がある。だから勇気を振り絞って水につけた顔を再度また水中から出すなんて器用なことが出来ない。更にまたその顔を水中に沈める勇気を振り絞るなんて酷な話でして・・・。
まぁ平たく言うと息継ぎが出来ないのですわ。なので泳げないのも同様。

腰上くらいまでの深さに到達した時です。右足の裏に強烈な痛みが走りました。
ズキーン!という一撃の後に痺れるような痛みが絶えることなく継続的に襲ってくる。もう一瞬でパニックです。
必死だったんだと思います、何がどうなったのか覚えていないんですが、気が付くと右足を抱えて砂浜でのたうち回っていました。足の裏からドクドクと血が流れていたのを覚えています。

午前9時前の、しかもシーズン終わりの海でしたから辺りにはほとんど人はいなくて、オイラを最初に見つけたのは後を追ってきた妹でした。アホ面を晒し泣きわめきながらのたうち回っている兄の姿を認めた妹が急いで両親を呼びに戻り、オイラは親父に担がれて病院に運ばれました。
親父はガラスの破片でも踏んだのだと思ったらしく、大して慌てることもなく「チッ、朝っぱらからウルセーガキだな」と思ったと今になって述懐していると知ってガックリ。

治療を受けたオイラは宿に戻り、我が家に帰るまで部屋で寝て過ごしましたとさ。

いま思うとアレが腰上くらいの水深でよかったなと。もしももっと深い場所だったらオイラは未だに房総の海を彷徨っていたのかもしれないね。

んで、オイラを襲った激痛はなんだったのかというとこれです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%82%A4

海水浴客が少ない時間帯や時期になると海岸近くまで接岸するんだとか。
傷の大きさからオイラが踏んだのは子供の個体だったらしく翌日には痛みも引きましたが、スズメバチと同じでもう一度さされると場合によってはショックが起きると脅かされました。
空いている海には思わぬ危険が潜んでいることもあるのでご用心。

ということでこの時がオイラにとって最後の海水浴。
あれから何度も海には行ってますが一度も泳いだことはありません。波打ち際でキャッキャッと戯れるだけ。
その弱々しい姿は細身の体型と相まってビキニを着てたらナンパされる自信があるわけない。坊主頭だし。

ちなみにゴンズイにも苦い思い出があるオイラ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%82%A4
海はあまり好きではありません。

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