失言が発端となり殺人事件にまでなった事象を挙げて「言葉は難しい」なんて話を数年前に書きまして、殺される側と殺す側だったら失言の多いオイラは前者だろうなぁなんてことを書いた記憶があるんですが。
オイラが普段よく使う単語に「馬鹿」ってのがあります。
「馬鹿だなー」「馬鹿じゃねーの」「バーカバーカ」「馬鹿たれ」などと様々な言い回しで使うんですが、同じ文句でも言い方を変えると違った受け取り方をされるのが言葉です。相手を罵倒・揶揄する「馬鹿だなー」と相手の立場になって同情を含んだ「馬鹿だなー」では発音や身振り手振りを変えますわな。こういうのは「馬鹿だなー」に限らず他の言葉でも誰もが無意識に使い分けていると思います。
受け取る側もそのことを承知してますから「馬鹿だなー」と言われても発言した側の意を汲んで的確に受け止める。子供相手なんかだと本当によく分かりまして、まだ幼い頃の甥っ子に「馬鹿だなー」というと何でもかんでも泣いていたものですが、成長するにつれて怒ったときの「馬鹿だなー」に対しては次に飛んでくるかもしれないデコピンの防御を、ふざけてからかった時の「馬鹿だなー」には照れ隠しの笑いを無意識に用意するようになるんですな。
相手が誰であれ面と向かっての言葉であれば、発言する側が最低限の表現力を持ち、受け取る側が最低限の理解を示すことが出来れば、発せられた「馬鹿だなー」の持つ意味を取り違えることなど無いわけです、滅多なことでは喧嘩にはならないし傷つけることもない。
ところがネットではどうでしょか?ってことを考えちゃうから困るのよ。オイラはこの雑記やメールの文章なんかでも馬鹿って言葉をよく使う。
ネットだと面と向かって話している訳じゃありませんから、言葉の持つ微妙なニュアンスは伝わりにくい。
「いやぁオイラ馬鹿だから」なんて感じで失敗談を書いて「うんうん馬鹿だねー」というコメントを期待してたら、「そんなことはないよ」ってなコメントを頂いてガックリしたというか、意図を的確に伝えられない自分の文章力の無さに愕然としたなんてことが過去にもたくさんありました。
まぁ自分が傷付くだけならいいんですが、もしかしたらオイラが何気に書いた「馬鹿」という言葉を読んで傷付く人がいる可能性もあるわけでして。
ここ最近あまり更新しなかったのはそんなことを考えていたからなんですな。今までのように書き続けていいものだろうかと。
「今日はナニを食べました、どこに行きました、美味しかった、楽しかった」そんな当たり障りのないことを書きゃいいじゃんって声も聞こえてくるんですが、それで済むなら毎日だって更新できるわけですよ、いや1日3回も4回も更新できる自信があるよ、しょこたんよりもヒマな生活を送っているのは確かですし。
だけどそれじゃ違うっしょ。
意図したこと、微妙なニュアンスや感情までを文章に表すのは非常に難しい。読み手が千差万別なんだから100%伝えるのは不可能なんじゃないか。伝わらないのなら書かない方がいい。
なんて負のスパイラルに陥ったわけですよ、えぇ。
新年の挨拶を書かないのもそういう理由。「明けまして~、旧年中はお世話に~、今年も~」なんて書いたところで、儀礼的な文章として読まれるだけであり、オイラがどれくらい本気でそう挨拶してるかなんて伝わりゃしない。
まぁ書くとしたら儀礼的に書くんだけどさ^^;
なんてことをずっと考えていたら、ご本人の肉声による新年の挨拶を拝見、いや拝聴しちまった。この発想はありませんでしたわ、正直ぶっとびました。頭を金属バットで殴られたような衝撃・・・・、ってこれはクモ膜下出血の症状か?
とにかくオイラにゃ考えも付かないことでした。肉声で伝えることが出来れば文章なんかよりもはるかに細かいニュアンスや感情が伝えられるじゃん。
でもねぇ。
過去にも数回書いたんですが、オイラは声フェチなんですな。第一印象で重視するのは?なんてベタな質問をされたら顔やスタイルよりも声とか喋り方と答えるくらい、声というのは時として人格までも判断させるほどのものだと思ってる。
だからなんですがオイラは自分の肉声を人に聞かれることにもの凄く抵抗があるんですわ。初対面の人に対して極端に無口なのはその所為もありまして、もしかしたら全裸を見られるよりも声を聞かれることの方が恥ずかしい事と思うんじゃなかろうか、ってな具合。
でも考えてみると、例えばネットゲームなんかではボイスチャットが必須だったりするのでオイラも必要が有れば使っているんですよ、相手こそ限定されますが自分の声を使ったチャットで意思の疎通を図っている、最初は恥ずかしかったけど慣れちまえばどうって事無くなってきた。
そう思うと聞き手と面と向かわなければ自分の声を流すことも抵抗無くできるのかもしれんと思えてくるから不思議なものですな。
これからはそういう時代になるのかもしれんね。ボイスチャットとかビデオチャットなんてのは広く普及してしまったんだから、今度はボイスブログとかビデオブログなんて時代が来るのかもしれん・・・。
と思って検索したら既にあるのね、ダメだ時代に取り残されてるな、オイラ。
http://voiceblog.jp/
http://jp.im.tv/vlog/
文章では意図が伝わらんなんて悩むのが馬鹿らしくなってきた。どうせ取り残されているんだからどうでもいいじゃんねぇ。また頑張って更新しようっと。