一般家庭における防犯カメラの必要性
日本の「性善説」は薄れつつある
日本人の多くは伝統的に「人は基本的に善人である」という性善説に基づいた考え方を持っています。
ワタシがまだ子供のころ、昭和時代の日本では、地域の目があり、隣近所のつながりも強く、犯罪とは無縁のような日常生活が存在しており、「鍵をかけずに外出しても大丈夫」といったような、安全で平和な社会が当たり前とされていました。
目の前にいる人を「疑う」のではなく、目の前にいる人を「信じる」ことで互いが互いを信じあい、互いが互いの信頼に応えることでより良い世の中が築けると考えてきました。
これまでの安全神話は、そうした日本人が共有する価値観を前提に維持されてきたと言えるのかもしれません。
しかし、平成・令和と時代は変わり世の中の仕組みも変わりつつあります。防犯意識の甘さにつけ込まれる事件も増えており、善意だけでは身を守れない世の中になってきています。
闇バイトなどの新たな犯罪
近年ではSNSなどを通じた非合法な求人が若者を中心に広がり「闇バイト」と呼ばれ新聞やニュースを賑わしています。
こうした「闇バイト」に応募した若者が悪意や怨恨といった明確な理由も持たずに詐欺グループや強盗事件の末端実行犯として使われるケースが増えていて、一般家庭がターゲットにされることも珍しくありません。
「まさか自分の家が…」という被害者の言葉がメディアでもよく聞かれるようになり、犯罪はもはや遠い存在ではなく、すぐ身近に潜んでいるという現実が浮き彫りになっています。
防犯カメラによる安心と抑止力
そんな世情もあって、一般家庭においても防犯カメラの設置が急速に広まっています。防犯カメラは、万が一の際の証拠映像として機能するだけでなく、設置してあること自体が犯罪の抑止力になります。さらに、最近ではスマートフォンと連動してリアルタイムで映像確認ができるなど、手軽さと高性能を兼ね備えた製品が増えています。
「自分の家は大丈夫」と思っていたその隙が、狙われるポイントになるかもしれません。日常の安心を守るためにも、今こそ防犯カメラという「目」を家庭に持つことが必要だと考えます。
一般家庭ではまだ防犯カメラ設置の敷居が高い
昨今のニュース記事やたらと防犯カメラの必要性が叫ばれたため、自分の家にも防犯カメラを取り付けたいと考える方も増えたように感じています。
とはいえ、「防犯カメラつけたいな」と思っても実際に行動に移そうとすると考えてしまいます。
- 費用は?
- 手間は?
- どこ(誰)に頼むの?
考えてしまう理由は大きくこの三点ではないでしょうか。
防犯カメラという製品は買ってすぐに使えるものではありません。取り付けて、設定して、映像が映って録画できることを確認して、そこまで終えてはじめて使える製品です。加えて機材トラブル時にはメンテナンスをする必要性もでてきます。
また、販売されている商品も家電量販店で売られている数千くらいのお手軽なものから、聞いたこともない専門メーカーが販売している数十万円クラスの防犯システムまで幅が広いです。
どれを買ってどうやって取り付ければいいんだろう?
そういったことを考えてしまうとどうしても二の足を踏んでしまいます。
一般家庭に於ける防犯カメラ設置の手段
専門業者に依頼する
これが一番確実な方法で最も防犯対策が講じられる方法です。
そして最も費用が嵩む方法でもあります。
防犯カメラという製品はただ適当に取り付ければOKってわけじゃありません。犯罪者の心理を理解して「ここにカメラがあったらイヤだな」って場所を狙って設置するのがポイントです。
また、カメラは映せる範囲が決まっていますので、どうしても「死角」ができてしまいます。なので、できるだけ死角が少なくなる場所を選んだり、必要に応じてカメラの数を増やしてカバーすることも考えなければいけません。
そういったことを丸ごと任せられるのが専門業者に依頼する最大のメリットです。
また、こうした専門業者は電気やネットワークの知識も備えていますから、後々のメンテナンスも依頼できます。
防犯設備士という資格がある
防犯設備士(ぼうはんせつびし)は、簡単に言うと「防犯のプロフェッショナル」です。住宅や店舗、オフィスなどに防犯カメラやセンサー、警報装置などを効果的に設置・運用するための知識とスキルを持った人が持つ資格です。
具体的には、
- 犯罪の手口や心理の知識
- 防犯機器の選び方と使い方
- 建物の構造に合わせた防犯対策の提案
- 設置場所や方法による効果の違いの判断
など、専門的なノウハウを持っていて、「この場所にはどういう機器を、どこにどう設置すれば効果的か」をアドバイスしてくれます。
この資格を持った人にお任せできる業者さんを探すといいかもしれません。
費用は嵩む
専門の人に依頼して自宅に最も最適な防犯カメラを設置して貰うのですから費用ももちろん高いです。例えるならオーダーメードスーツみたいなもんです。
例えばこんな感じの製品を効率の良い場所に設置して映像を確認できるように設定してくれます。
家電量販店
昨今では家電量販店で防犯カメラを扱うようになりました。
家電量販店で扱う防犯カメラは必然的に家電量販店と取引があるメーカーの商品となります。取引のないメーカーのものは売っていませんし取り寄せも出来ないことがほとんどです。
各家電量販店の取り扱い状況
この記事を執筆している時点での各家電量販店のオンラインショップに於ける防犯カメラの取り扱いメーカーを記載しておきます。
あくまでもオンラインショップでの取り扱いです。店頭で展示・購入できることを確認したわけではありませんのでご了承下さい。
ヨドバシカメラ
- パナソニック
- Amazon
- DXアンテナ
- ELPA
- TP-Link
- Anker
- Switchbot
- カシムラ
- PLANEX
- IOデータ
コジマ
- パナソニック
- Amazon
- TP-Link
- Anker
- Switchbot
- カシムラ
- PLANEX
- EZVIZ
- IOデータ
- ARLO
- 水鏡
ケーズデンキ
- パナソニック
- IOデータ
- Anker
- TP-Link
- Switchbot
- ELPA
- RITEX
- コロナ電業
ヤマダデンキ
- パナソニック
- Amazon
- DXアンテナ
- ELPA
- TP-Link
ノジマ
- パナソニック
- Amazon
- IOデータ
- TP-Link
- ダイトク
ジョーシン
- パナソニック
- Spotcam
- Amazon
- IOデータ
- TP-Link
- EZVIZ
- 水鏡
- DXアンテナ
エディオン
- パナソニック
- Amazon
- TP-Link
- Anker
- Switchbot
- IOデータ
- EZVIZ
取り付け工事はお店による
家電量販店はあくまでも販売だけをするお店です。
エアコンの取り付けや冷蔵庫や洗濯機の搬入・設置、簡単な電気工事などは扱ってはくれますが、防犯カメラの設置に関してはほとんどのお店が専門外です。
家電量販店のスタッフで防犯設備士の資格を持っている人はほとんどいないでしょうし、製品の特徴や性能に関してもカタログに載っている内容やメーカーサイトに記載されている内容を案内するにとどまるはずです。
中には設置工事まで請け負ってくれる量販店もあります。
料金は設置する商品や台数、設置場所の環境によって大きく異なるので最初に見積もりを取ることになるはずです。
電気工事や初期設定までお願いすることになると料金は決して安くはありません。
家電量販店で防犯カメラを購入するのであれば、設置に関しては自身で行うか別の業者に依頼することも考えておくべきです。
町の電気屋さん
昔ながらの町の電気屋さんでも防犯カメラの相談は受けてくれると思います。
ただ、どこまで専門的な知識や技術を持っているかはお店によって様々です。
相談するお店によっては経験豊富なこともあれば専門外なこともあるでしょう。
扱える商品も量販店よりは多くないと思います。
ホームセンター
家電量販店と同じく、昨今の闇バイト事件以来、ホームセンターでも防犯カメラを盛んに取り扱っています。
購入や工事に関しても家電量販店と同じで、扱っている商品や工事の可否はお店によるようです。
自分で設置する(DIY)
最も費用がかからない方法ですが、最も手間がかかる方法でもあります。
自分で設置する際に課題となるのは
- 取り付け場所や方法はどうするのか
- 電源はどうやって取るのか
- 映像の視聴方法はどうなっているのか
この辺です。
1,取り付け場所や方法はどうするか
まずはカメラを取り付ける場所を自分で決めなければいけません。
カメラには映せる範囲(視野角)があるので、映したい範囲がカメラの画角に収まるように設置場所や設置角度を決める必要があります。自在に首振りが出来るカメラであれば設置後の調整も可能ですが、固定式の場合はカメラを仮止めしてから時間をかけて調整することになります。
取り付け方法にも頭を悩ませます。
外壁にアンカーを打ち込んでビスで固定する方法が最も確実ですが、DIYを趣味としている人ならいざ知らず、素人が作業するとなると道具も経験も足りません。
我が家の外壁に穴を開けるなんて考えただけでも怖いですし、ましてや失敗して何カ所も開けることになったらと思うと。
外壁に固定する以外にナニか方法はないのか?
といったアイディアが必要になってきます。
2,電源をどうやって取るのか
防犯カメラは電気で動きます。この電気をどうやって供給するかが悩みどころです。
電気の供給方法は商品によって変わってきますが、大きく分けて2種類です。
外部電源を使う商品
いわゆるコンセントから電源供給をするタイプです。防犯カメラの多くの製品はこのタイプです。
おうちの屋外に防水コンセントがあれば、そこから電気を供給します。
とはいえ、防水コンセントが都合良くカメラの設置場所の近くにあるとは限りませんから、コンセントの位置が遠い場合は屋外用の電源延長コードを用意する必要がありますし、場合によっては屋内のコンセントから電源を取る方がスマートなこともあると思います。
どこからも電源を取れない場合は電気工事によるコンセント増設が必要になります。
内部電源を使う商品
いわゆるバッテリーを内蔵するタイプです。
バッテリーの残量が減ってきたらカメラ本体から外して充電が必要になります。バッテリー管理の手間はかかりますが、外部電源と違って電源配線の必要がないので見た目がスッキリとします。
バッテリーへの充電を行える商品もあります。
見た目が派手になりますが充電の手間がなくなるのはメリットです。
3,映像の視聴方法をどうなっているのか
専用モニターが付属する商品
カメラ専用のモニターが付属するタイプです。カメラとモニターは無線で接続します。
パナソニックのVL-CV100KやDXアンテナのWSS10M1CLなどがこのタイプ。
カメラが子機、専用モニターが親機といった概念で、親機と子機がホームネットワークを介さずに直接無線で接続するためネットワーク接続の設定が簡単です。
映像の録画は親機(専用モニター)側で録画します。(要microSDカード)
1台の親機に対して複数の子機(カメラ)を接続できるたり、親機の映像をスマホアプリで視聴できたり(パナソニック)、親機をHDMIで外部に接続することで(DXアンテナ)テレビなどの大画面で映像を確認することも可能です。
このように将来的な拡張性が高い反面、商品価格にはモニターの価格も加わるため初期投資の額は高めになります。
スマホアプリで視聴する商品
手持ちのスマホに専用アプリをインストールすることで映像を視聴できるタイプです。
amazonやGoogle、AnkerやTP-LinkといったIT家電メーカーが販売する商品はこのタイプです。
専用モニターを購入する必要が無いため初期投資はカメラ代だけで済みますが、カメラをスマホと同じネットワーク(Wi-Fi)に接続する必要があるため、多少のネットワークの知識が必要になります。
商品の中にはLANケーブルによる有線での接続にも対応している製品があります。環境によっては無線での接続が不安定だったりする場合がありますので、有線接続にも対応していると安心です。
スマホで確認できる映像はネットワーク越しで視聴することになります。そのためリアルタイムの映像は若干のラグが生じて数秒遅れでの確認となることがほとんどです。
映像の録画もカメラ側で行うため、メンテナンス時のmicroSDカードの出し入れにはカメラへの物理的なアクセスが必要になります。
多くの商品がIoT製品としてスマートホームに対応しているので、Googleホームやamazonアレクサを介してテレビやスマートスピーカーとの連携が可能です。
まとめ
ここまで色々と書いてきましたが、整理してみるとこんな結論に達します。
商品選びや設置工事が面倒な場合
専門業者に依頼すれば最も効果的な製品を最も効果的な場所に取り付けてくれます。
商品は自分で選びたいけど設置はしたくない(できない)
家電量販店やホームセンターに依頼するのが手っ取り早いでしょうか。
とはいえ、ワタシも地元のいくつかのお店にそれとなくリサーチしましたが、家電量販店もホームセンターも防犯カメラの設置は積極的にはやりたがらないようです。
考えてもみて下さい。
依頼する側は防犯に一役買ってくれると信じて依頼してくるわけですよ。ところが請け負う側は防犯対策のプロではありません。(恐らくですがお店は防犯のプロを雇ってはいない)
ホームセンターや家電量販店のお抱えの職人さんならカメラの取り付けは難なく出来るはずです。電気工事もネットワーク設定も難なくやってくれるでしょう。
ですが防犯のプロではないんですよ。
依頼主が希望した商品を依頼主が希望した場所に取り付けるだけです。
そうして設置した翌日にそのお宅が運悪く空き巣や強盗などの犯罪に遭ってしまったら?
設置した防犯カメラが役に立たなかったら?
自分が設置を請け負う側だったらどうです?
「責任負え!」って言われたら責任負います?
設置を家電量販店やホームセンターに依頼するのであれば、商品選びもまとめて専門業者に依頼してしまいましょう。プロにお願いしましょう。
それが「依頼する側とされる側」、どちらにとってもお互いのためだとワタシは思います。
商品選びも設置も自分で行う
自分で選んだ製品を自分で設置する。
恐らくこの方法を第一に考える人が一番多いのではないでしょうか?ですが、前述したように敷居は結構高いです。
敷居は高いのですが、現状で売られている製品にどんなものがあるかを知れば、自力で設置できる可能性も見えてくるはず。
ということで防犯カメラを販売しているメーカーや製品を解説していきます。全てのメーカーは無理ですので有名どころをメインに紹介します。
amazon ring
Ringとは
おうちの「今」をすぐそばに。
– 誰もが穏やかに、安全な生活をおくれたら –
Ringはそんな想いとともに2013年にアメリカで誕生したセキュリティブランドです。忙しい毎日も
大切なご家族の見守りも
ほんの少し、不安になるときも。Ringデバイスが日々の安心と便利をサポートします。
amazon ring はamazonが販売するホームセキュリティ製品シリーズです。
ペットやお子さん、店舗の見守りなどに使える屋内用のカメラ、バッテリー内蔵の屋外・屋内兼用カメラ、配線不要でスマホで応対できるドアベル(ドアホン)といった製品をラインナップしています。
その中で屋外用の防犯カメラとして使えるのはRing Stick Up Cam Batteryです
特徴
- 充電式のバッテリー内蔵
- 予備バッテリーも販売
- スマホで映像確認
- 別売りのソーラーパネル対応
デメリット
映像はSDカードでは無くクラウドストレージに録画することになります。
クラウドストレージは有料(無料期間あり)で、無課金だと録画は出来ずリアルタイムの映像しか確認できなくなります。
Anker Eufy
スマホやパソコンの周辺機器を販売するAnkerのネットワークカメラ製品です。
ガジェットメーカーだけあってネットワークカメラだけでも色々な製品を販売していますが、屋外用の防犯カメラで使えそうなのは3種類。
Anker Eufy Security SoloCam C210
ラインナップの中で最もシンプルな商品がこれ。
特徴
- 充電式のバッテリー内蔵
- 録画本体メモリー(8GB)
- 追加料金不要
デメリット
- 録画ストレージが8GBと少なめ
- SDカードには非対応
Eufy Security SoloCam S220
C210の本体にソーラーパネルを付けたような商品
特徴
- ソーラーパネルによる充電
- 録画本体メモリー(8GB)
- 追加料金不要
デメリット
- 録画ストレージが8GBと少なめ
- SDカードには非対応
Eufy SoloCam S340
ソーラーパネルによる充電と録画方向を自在に変えることが出来るモデル
特徴
- ソーラーパネルによる充電
- 水平方向に360°、垂直方向に70°首振り
- 望遠レンズ搭載で遠くの被写体も大きく撮影
- 録画本体メモリー(8GB)
- 追加料金不要
デメリット
- 録画ストレージが8GBと少なめ
- SDカードには非対応
TP-Link TAPO
Wi-Fiルーターやスマート家電などネットワーク製品を販売するTp-linkのネットワークカメラです。
Anker以上にラインナップが多いので代表的なもののみ紹介します。
Tapo C530WS
水平方向に360度/垂直方向に130度の首振り、自動追尾、パトロールモードに対応し、1台で広い範囲を監視することができるモデル
特徴
- 水平方向に360度/垂直方向に130度の首振り
- 対象別や時間帯制限など柔軟な通知設定が可能
- マイク・スピーカー搭載で来訪者のとの対話が可能
- ライト搭載で不審者への警告が可能
- 無線・有線LANのどちらでもネットワーク接続が可能
- 録画先はクラウドストレージ(有料)とmicroSDカード(別売)のどちらでもOK
デメリット
- 外部電源(コンセント)による電源供給
Tapo C425 KIT
ソーラーパネル付属で視野角150度の広範囲を撮影できるモデル
特徴
- ソーラパネル付属、45分の日照で1日稼働
- 対象別や時間帯制限など柔軟な通知設定が可能
- ライト・スピーカー搭載で不審者への警告が可能
- 夜間でも明るいカラー撮影が可能
- 録画先はクラウドストレージ(有料)とmicroSDカード(別売)のどちらでもOK
デメリット
- 見た目が派手(個人的感想)
Tapo C325WB
F1.0の明るいレンズで夜間でもクリアに撮影できるモデル
特徴
- 明るいレンズとセンサーで夜間でも明るいカラー撮影が可能
- 対象別や時間帯制限など柔軟な通知設定が可能
- マイク・スピーカー搭載で来訪者のとの対話が可能
- 無線・有線LANのどちらでもネットワーク接続が可能
- 録画先はクラウドストレージ(有料)とmicroSDカード(別売)のどちらでもOK
デメリット
- 外部電源(コンセント)による電源供給
といった記事を半年かけて書きながら、そのあいだに我が家にも防犯カメラを導入してみました。
続きはまた別の記事で(2025/04/10現在執筆中)






































































































































