アメ横

未曾有の景気後退のなか年末を迎えるとあってか、ワイドショーやニュース番組では賢い買い物特集なんてのを盛んにやってますな。
先日見たのはアメ横の買い物。

たくさんの人でごった返すアメ横は年の瀬の風物詩となってますが、10代の頃から50年以上アメ横に通うオイラの父親に言わせると「あそこは何度も通わなくちゃ当たりを引けん、いきなり行って良い買い物をするのはナンバーズを当てるくらいの確率だ」とのこと。さすがに年末ジャンボの確率ほどでは無いみたいですが、安い物にはそれなりの理由があるのは当然で、店の努力だけで5000円のマグロが1000円にはならんのだそうです。
50年通ってても買う店はいつも同じ、「あれを買うならこの店」「これはあっちの店」と商品ごとに買う店が決まっていて、声をかける店員さんもいつも同じ人。向こうも顔を覚えているので

「ある?」
『あるよ!』
「いくら?」
『1000円でいいよ!』
「じゃもらってく」
『まいど!』

やりとりはこれだけだそうだ。何とも省エネな買い物。
そういえば「鮭のカマ」といい「ホタテの貝柱」とい「バナナチップス」といい、オヤジがアメ横で買ってくるものは外れがないし、今回初めて「いくらで買ってきてるんだ?」と値段を聞いてみるとびっくりするほど安い金額を返答された。
う~ん、50年も通ってるだけのことはあるよ、たいしたもんだよ。

かく言うオイラも地元から一番近い繁華街が上野なもんですからアメ横には10代の頃から通っていました。ですがオイラが買うのは食品ではなくてジーパンやスニーカー、ライターや時計といったたぐいの物。
魚や乾物を売っている通りだけがアメ横ではありません、ガード下のクネクネとした狭い通路の両脇にも様々な物が売っていて、軍用のナイフとか舶来のライターやサングラスなんかを眺めていました。
(軍用ナイフと聞いて危険な想像をするかもしれませんが、刃物に惹かれるのは男の子なら当然のこと。オイラは刃物を道具として使う職人の家に生まれ、趣味のキャンプや野宿で刃物を必要としていましたので、そこのところはご理解を。当然ながら刃先を人に向けたりはしなかったし)

あれは高校2年生のある秋の日曜日。その日も友達とバイト代を握りしめてアメ横に行きました。
何を買うでもなくウロウロしていると、とある店先で外国産の松茸を発見。どういう風の吹き回しか俄に親孝行心が芽生えてしまい「オヤジとオフクロが喜ぶかもしれん」と一盛り買って帰りました。アメ横で生ものを買ったのはあれが最初だったのかしら。

翌日の夜、バイトを終えて着替えていると体中に大きめの発疹ができていることに気がついた。その発疹は非常に特徴的で先端に小さな水を含んでいる。なのでその正体は一瞬で理解できました。
よく言われていることですが、ある程度の年齢になってからの麻疹や水疱瘡は対処を誤ると後々困ることになるほどの症状を発するものでして、オイラも数日に渡り高熱にうなされて死ぬ思いをいたしました。

いま思えば間違いなくアメ横で感染したに違いない。

ということで、それ以来オイラの流行病の対策のその1は「人混みに行かないこと」となりました。そのお陰かこの十年以上「インフルエンザ?なにそれ?」という生活を送れています。
が、そのお陰でこの時期は常に引き籠もり。「あれ?年が明けてたの?いつ?」という年末年始を送っています。
喜んで良いんだか悲しんで良いんだか。

不景気とはいえこの文章を読んでくださっている方の中にはオイラのような人生の落後者なんて皆無でしょうから、好む好まざるにかかわらず人混みに出かけなきゃいけない人も居ると思います。
うがい手洗いだけでも予防効果はあるそうです。ご自愛いただき健康な体で新年をお迎えくださいますよう。

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