久しぶりに寅さんを見た。
男はつらいよシリーズは大好きでして、ガキの頃からテレビやビデオで何度も繰り返し見ています。マドンナに振られた寅さんが精一杯粋がって柴又を後に旅に出る姿は、ある意味でオイラの理想なのかもしれん。
高校時代に受けた至極真面目な職業適性検査で「あなたに適した職業はテキ屋です」と大まじめに返答された経験がありまして、卒業後の進路の指針ともなるべく大事な検査の結果にテキ屋という職業が含まれているという事実、及び己の適正がそのテキ屋であった事実に愕然とすると同時に大笑いしたことがありました。
20代の不安定だった時期にいろんな職業を経験しましたが、この時期になると思い出すのは街頭での物品販売のアルバイト。
当時はまだデジカメなんて一部の新しもの好きが奮発して購入するもので、多くの人はそういうアイテムの存在すらよくわかっていない時代。もちろんカメラ付き携帯なんてのも想像もできない時代でしたから、気軽に写真を撮るという時には「写るんです」に代表されるレンズ付きフィルムを使っていました。
そこでクリスマスで賑わう繁華街の路頭でレンズ付きフィルムなどを売るわけです。表参道とか銀座とか。
カップルでごった返す交差点の片隅にフィルムメーカーのイメージカラーであるグリーンのジャンパーを着て大声を張り上げる。ちょっとだけ値段が高いISO800の商品を手に取り、「これなら彼女もイルミネーションもバッチリ撮れまっせ!」と付け焼き刃の商品説明を交えてバンバン売るわけです。
クリスマスが終わると場所を郊外のスーパーに変えてお正月用品を売る。注連縄(しめなわ)とか門松とかね。
これも独学で付け焼き刃の蘊蓄を詰め込んで接客するとバンバン売れる。
「一夜飾りは縁起が悪いよ!今日のウチに買っちゃって!」
買い物途中の主婦が次から次へと買ってくれる。
年が明けるとまたレンズ付きフィルム。今度は初詣の名所に行って売るわけです。
「ちょっとそこのキレイなオネィサン!せっかくの晴れ着を写真に撮っときましょうよ!」と。
売り物が違えどそれはまさに寅さんであり、オイラに最適と診断されたテキ屋でした。
このバイトはクリスマスの数日前から正月三日までの短期間だったのですが、付け焼き刃の商品知識のお陰かトップクラスの売り上げを上げることができて、1週間後に雇い先から電話をもらえた。
「成人式でまた人が必要なんだけど是非」
次の年末はデパ地下に出店している某メーカーのバイト。
昨日は伊勢丹、今日は三越、明日は高島屋と都内のデパートに日替わりで出向きお歳暮商品やクリマスケーキを売りまくる。
翌年の年末は国内のメーカーに雇われて量販店での時計販売のバイト。
国内製品も品質では海外のブランド品に負けず劣らずということを力説してお客さんに売りまくる。
いま思うとあの職業適性検査の精度は抜群だったんじゃないかと思います。毎日のように違う場所へ赴き、違うタイプのお客さんを相手に物を売るのはとても楽しかったし自分に向いていると思ったよ。
現在でもちょっと思うのよね。
多少の軍資金と仕入れのルートなどのツテがあるなら全国をウロウロしながら物を売って暮らしていきたいと。寅さんのように俗世と決別することになってもいいからさ。
老後の楽しみとしてジックリと計画を練ってみようと思います。
さてTSUTAYAで寅さんを借りてこようっと。
